📅 July 10, 2020
•⏱️ 8 min read
Google アナリティクス(GA)にはユーザーの行動をあらゆる面から分析するために様々なレポート機能がデフォルトで用意されています。
しかし機能が充実しているがゆえに、GAに慣れていない方だとかえって「レポートのどこを見ればいいかわからない」「本当は自社のニーズにあった分析をしたいけどやり方がわからない」といった状況に陥りがちです。
GAのレポーティング機能を使いこなすためにはまず、「GAは計測したデータをどのように集計・分類しているのか」を大まかで良いので理解する必要があります。
そこで本記事ではGAのデータ分類単位である「ディメンション」と「指標」とその集計単位にあたる「ヒット/セッション/ユーザー」にポイントを絞ってその定義や考え方を解説します。
ディメンションと指標は「GAで集計・計測されたデータを解釈しやすい形に分類するための単位」です。
ディメンションは分析の軸となるデータ属性を表します。
例えば「地域別のユーザーアクセス数を見たい」という場合は「地域」が、「流入経路別のCVRを調べたい」というケースでは「流入経路」がディメンションに該当します。
このように、「〇〇別/〇〇ごとに分析する」の〇〇=ディメンション
と考えるとわかりやすいでしょう。
「指標」はPV数やCVRといった定量的な値を意味し、先程の例におけるアクセス数(PVやセッション数)やCVR(xx%)が該当します。
GAの各レポート画面に表示されるテーブル(表)は基本的にディメンションが「行」、指標が「列」で構成されています。
GAの各レポート画面でデフォルトで設定されている(1つ目の)ディメンションを「プライマリディメンション」と呼び、表の枠外上部にまとめられている項目からプライマリディメンションを切り替えることが可能です。
「集客>すべてのトラフィック>チャネル」レポートで例を見てみましょう。 このレポートでは「デフォルトチャネルグループ」というGA側で予め定義されたチャネルグループがプライマリディメンションとして設定されており、「ユーザーはどのような経路でサイトに訪問しているのか」を把握することができます。
他にも「参照元/メディア」など様々な指標をプライマリディメンションに設定可能です。
GAのほとんどのレポートではより詳細な分析をするために追加で「セカンダリディメンション」を設定することができます。
セカンダリディメンションはその名前の通り2つの目の分析軸となり対象のデータをより詳細に分析することが可能になります。レポート画面上部「セカンダリディメンション」のドリルダウンから項目を選択することで設定します。
先程の例を使ってセカンダリディメンションに「デバイスカテゴリ」を設定してみました。 すると「チャネル別×デバイス種別」で表が集計され、「PCでのリファラル流入が一番多い」といったインサイトを得ることができます。
GAレポートのアドホック(ニーズに応じた柔軟な)分析の第一歩として簡単に活用できる機能なので、自社のGAでセカンダリディメンションを設定して何がわかるのか実際に試してみることをおすすめします。
ディメンションと指標は「計測・集計されたデータをどう分類するか」という論点でした。
その手前の話として「GAではどのような単位でデータを計測・集計するか」があり、 それが「ヒット/セッション/ユーザー」という3つの単位(階層)です。 また、これらはデータのスコープ(範囲)とも呼ばれます。
※なお、この3つの区分以外にも厳密には拡張eコマース設定をした場合のみ適用される「商品」という区分も存在します、こちらは例外的な概念なので本記事では割愛します。
「ヒット」はGAにデータとして送信されるユーザー行動の最小単位で、ページビューやイベント(クリックなど)が発生するごとにカウントします。eコマース設定を行うことで計測されるトランザクションもヒットとしてカウントされます。
次に「セッション」ですが、ユーザーの1セッション(訪問)を単位にデータを集計します。セッションあたりPV数といった指標に加えセッションで区分される指標の代表に「コンバージョン」があります。コンバージョンは商品の購入など特定の行動の完了をGAの「目標」に設定することで計測しますが1回のセッションで最大1回しか計測されません。
コンバージョンやトランザクションについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
Google アナリティクスの「コンバージョン」を正しく理解しよう
最後に「ユーザー」ですが、こちらはその名の通り1人のユーザーに紐付けてデータを集計します。 1人のユーザーがスマホでECサイトを見て後日PCで購入するというようなクロスデバイスの行動が当たり前になったことを踏まえ、近年GAは「ユーザー」タブのレポート機能を拡充し詳細な分析ができる新機能を続々とリリースしています。
「ユーザー」で集計されるデータ例としては
などが挙げられます。
それぞれの定義を踏まえて整理すると、
- ヒット・・・ユーザー行動を「点(発生ベース)」で計測する
- セッション・・・ユーザー行動を「線(時間軸)」で集計する
- ユーザー・・・ユーザー行動を「面(特定の1人に紐付ける)」で集計する
となります。
例えば特定の期間において、Aさんという1人のユーザーのみが2回ウェブサイトを訪問し、1回目で3PV、2回目で4PVをしたとします。
この場合 ヒット(PV)→7、セッション→2、ユーザー→1 ということになります。
このように、1つの行動に対してデータのスコープごとに異なる値のデータが集計されるイメージが掴めていれば理解度としては十分です。
用語の意味を理解することで、レポート画面の内容や数値の意味を正しく理解し自社のマーケティングに活かすことができるようになります。
「ヒット/セッション/ユーザー」という区分ですが、GAに出てくる指標がどのスコープで集計されたものかを網羅的に把握する必要は全くなく(私もできていません)、最初は「GAのデータの集計方法にも種類があるんだなあ」という程度の理解で問題ありません。
この「データのスコープ」という概念を頭の片隅においておくことで目の前のデータの意味や扱い方をより正確に理解できるようになります。
GAのカスタマイズやアドホック分析については別の記事で詳しく解説します。