Google アナリティクスの「コンバージョン」を正しく理解しよう

📅 July 02, 2020

⏱️ 8 min read

Yuya Hyodo

1993年生まれ。京都大学経済学部卒業後、新卒で三井物産に入社。その後社員2名のスタートアップにジョインし複数の新規事業開発に携わった他、大手リゾート会社のwebマーケティング責任者としてアクセス解析や広告運用など幅広い業務を経験。2019年12月zipunkを創業。Google Analytics個人認定資格(GAIQ)保有。

Yuya Hyodo

1993年生まれ。京都大学経済学部卒業後、新卒で三井物産に入社。その後社員2名のスタートアップにジョインし複数の新規事業開発に携わった他、大手リゾート会社のwebマーケティング責任者としてアクセス解析や広告運用など幅広い業務を経験。2019年12月zipunkを創業。Google Analytics個人認定資格(GAIQ)保有。

皆さんが運営するLPやwebサイトの目的は何でしょうか? 多くの場合商品の購入やお問い合わせなど、ユーザーのなんらかのアクションをゴールに設定していると思います。

このような『ゴールとなるユーザーの行動』をコンバージョン(CV)といい、Google アナリティクスを活用することで自社サイト上のCVを計測し、詳細データを収集できるようになります。

CVを計測するためのGAの仕組みを「コンバージョントラッキング」と呼びますが、「目標」、「イベントトラッキング」、「トランザクション」といった専門用語が多く、『よくわからないけどとりあえず設定して運用している』というサイト担当者の方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事ではGAを使ったコンバージョントラッキングを使いこなすために理解すべきポイントやコンセプトについてまとめました。具体的な設定方法は別記事にて個別に紹介していますので、併せてご参照ください。

この記事で学べること

  • GAコンバージョントラッキングのコンセプト
  • GAの「コンバージョン」と「トランザクション」の違い
  • タイプ・目的別のコンバージョン計測方法

1. GAにおけるコンバージョントラッキングのコンセプト 

早速ですがGoogle アナリティクスのコンバージョントラッキングを理解する上で重要なポイントがあります。それは GAでは(広義の)コンバージョンを「コンバージョン(目標の完了数)」と「トランザクション(ECの購入データ)」という2つのカテゴリに明確に区分している という点です。

以下それぞれのコンセプトを解説します。

1.1 コンバージョン(目標の完了数)

GAの「コンバージョン」はページの閲覧やボタンのクリックなどwebサイト上のアクション全般(イベント)を対象にした概念です。GAの「目標」にコンバージョンを設定することでCVに関するデータをレポート画面で確認することができるようになります。

「目標」の設定と集計データの確認方法は以下記事で解説しています。 「目標」設定でコンバージョンを計測する手順とポイントを解説

「目標」に設定できるコンバージョンのタイプには以下の5つがあります。

  1. 到達ページ
  2. 滞在時間
  3. ページビュー数 / スクリーンビュー数(セッションあたり)
  4. イベント
  5. スマートゴール

5の「スマートゴール」は機械学習を利用してCVの可能性が高いセッションをGAが分析してくれる機能となっており、使用条件などもあるため例外的な位置付けの機能です(別記事で詳しく解説します)

理解しておくべきポイントは1~3のような「ページビュー計測で測定可能になるCV」と4.イベントは分けて考える必要があるという点です。

ウェブサイトにGAを導入するファーストステップとして、GAのトラッキングコードをサイトの全てのページのHTMLコードに埋め込みます。zipunkではGoogle タグマネージャーを使った実装を推奨しており、こちらの記事でメリットや手順について解説していますので参考にご覧ください。

【2020年版】GAタグを実装!Google タグマネージャー導入・設定ガイド

ここで実装したGAのトラッキングコードによってページやセッションごとのデータが計測・集計対象となり、「購入完了ページの閲覧をCVとしてカウントする」といったページビュー計測に関連したCVを「目標」で設定することで計測できるようになります。

一方、イベントはサイト内リンクやボタンのクリック、動画再生といったクリックなどのサイトでのアクションを指し、デフォルトのGAのトラッキングコードでは計測することができません。そのためイベントを計測する仕組みである「イベントトラッキング」の設定が必要になります。

イベントトラッキングはクリック計測だけでなく多様なデータの計測が可能になるため、この仕組みを理解することで自社サイトのより詳細な分析と改善が可能になります。

また誤解しやすいポイントですが、

イベントトラッキングの設定をする≠イベントの計測データをGAで確認できる

という点には注意が必要です。

イベントトラッキングは例えば外部リンクが10回クリックされた、というようにイベントを計測する仕組みを指し、サイトへのコードやタグの実装で設定を行います。

このイベントトラッキングを設定したイベントを「目標」設定することでGAのレポート集計されたデータの確認ができるようになる、ということです。

イベントトラッキングの設定はGAでも可能ですが、Googleタグマネージャー(GTM)を使うとより効率的な設定と管理が可能になります。GTMを使ったイベントトラッキングの設定方法は別の記事で解説します。

1.2 トランザクション(ECの購入データ)

ページビューに紐づくデータ集計やイベントラッキングを活用することで多様なCVを計測することができますが、これらの設定ではeコマースサイトで購入された商品の価格や数量のような詳細情報を計測することはできません。

「目標」で設定する「コンバージョン」とは別に、eコマーストラッキングという設定をすることで集計される取引(に関するデータ)をトランザクションといいます。

eコマーストラッキングを設定するとGAの「eコマース」レポートが利用可能となり、商品の販売データや商品別詳細など様々なデータの分析ができるようになります。

1.3 コンバージョンとトランザクションの違い

「コンバージョン」と「トランザクション」の本質的な特徴はそのデータ集計方法に見ることができます。

前提として、GAのデータ集計は「ヒット」、「セッション」、「ユーザー」という3タイプの区分が存在します。 ざっくり捉えると

  • 「ヒット」は計測対象のイベントが発生するたびに個別カウント
  • 「セッション」はユーザーのサイト訪問単位で集計
  • 「ユーザー」は文字通りユーザー単位でまとめて集計

というイメージです。

そして、トランザクションはヒット(発生)ベースで集計されるのに対して目標に設定した「コンバージョン」はユーザーの1セッション(訪問)単位で最大1回しかカウントされないという性質を持っています。わかりにくいと思いますので具体例を用いて解説します。

購入完了ページのURLを「目標」設定しているECサイトにユーザーAが訪問し、商品を購入したとします(CV1) Aは購入後サイトを閉じる前に家族用に追加でもう一つ購入することを思い立ち、そのまま再度商品を追加購入しました(CV2)

この場合、トランザクションはヒット(発生)ベースで2回計測されるのに対し、「目標」完了数は2回ではなく1回となります。これはユーザーの1回の訪問(セッション)で複数回CVが発生しても1つの目標に対してCVは1回しかカウントされない(=CVのあるセッション数をカウントする)ためです。

このように「コンバージョン」と「トランザクション」でデータ集計方法が異なることはレポートの数値の解釈や手段の選択の際に影響するため理解しておくと良いでしょう。

2. まとめ

  • GAには「コンバージョン」と「トランザクション」という2つのコンセプトが存在し、それぞれ計測するデータの内容や必要な設定、集計方法が異なる
  • 「コンバージョン」にはページビューデータを用いて計測されるCVと、リンクのクリックなど別途計測設定が必要な「イベント」がある
  • 「イベント」を計測するための設定である「イベントトラッキング」はGTMを使うと便利
  • eコマーストラッキングを別途設定すると「トランザクション」が計測され、購入情報の詳細などを取得できるようになる
  • 「コンバージョン」はセッション単位で集計され、「トランザクション」はヒット単位で集計される

GAのコンバージョントラッキングはデジタルマーケティングの「成果」を確認するために必要不可欠な設定です。 「自社のサイトではユーザーのどんな行動がポイントになるか?」を検討し必要な設定を行いましょう。