📅 June 15, 2020
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自社ウェブサイトのデータ計測・収集ツールであるGoogle アナリティクス(以下「GA」)は企業に広く導入されていますが、同じくGoogleの製品であり無料で活用できるGoogle タグマネージャー(以下「GTM」)について、その特徴や活用方法はいまいちよくわからない、という方は多いのではないでしょうか。
近年その利便性から改めて注目されているGoogle タグマネージャーを利用することで、GAを含む様々なサービスを使ったウェブサイト上のデータ計測を一括して効率的に管理することができるようになります。 本記事ではGTMの概要や特徴、GAとの違いや導入メリットについてご紹介します。
Google タグマネージャーを簡潔に説明すると、「ウェブサイトやモバイルアプリ上のデータ計測を一元管理できるマネジメントツール」と言えるでしょう。
自社ウェブサイトやモバイルアプリの現状分析や施策の効果測定を行うにはユーザーのサイト上の行動やコンバージョンに関するデータの収集や計測が必要になります。そのために、従来の方法ではGoogle アナリティクスやGoogle広告など、使用しているサービスごとにトラッキングコード(データの計測に必要なコード)を発行しウェブサイトに実装しなければなりませんでした。
しかしGoogleタグマネージャーを活用することで、導入時にコンテナスニペットと呼ばれるGTMのタグ(取得データを外部ツールに送信するために必要なコード)を自社サイトに埋め込むだけで以後はGTMの管理画面からGoogle アナリティクス、Google広告、Facebook広告などの様々なツールのタグの実装や管理、更新がより簡単かつ効率的にできるようになります。
GTMはGoogleが提供するタグマネジメントツールですが、他にも代表的なサービスとしてヤフーの「Yahoo!タグマネージャー」があり、いずれも1つのタグを通じて複数ツールのタグの動作・管理を行うツールとなっています。
ここではなぜGTMが企業のマーケティングに有用なのか、マーケティングのトレンドや実務での課題に触れながら考察します。
ウェブサイトのデータ計測・収集ツールであるGoogle アナリティクスをはじめとして、近年のデジタルマーケティングソリューションの多様化・高度化を受け企業は様々なデータをマーケティングに活用することが可能になりました。
例を挙げるとGoogle広告やFacebook広告などの広告系サービスはウェブサイトのデータを活かして効率的なターゲティングや入札最適化を行えるようになりますし、広告サービスをGoogle アナリティクスと連携することで広告の費用データとアクセスデータを統合したより詳細な分析が可能になります。 他にもサイト改善に有効なA/Bテストツールは自社サイトに埋め込む形で用いられます。
自然検索、SNS、ネット広告、メールマガジンなどオンライン上の顧客接点が多様化した現代において、コンバージョン(商品の購入など)に至る様々なデータを集計し分析する体制を構築することが質の高いマーケティングを行う上でますます重要になっています。
このような背景を踏まえ、ウェブサイトへの外部サービス連携や管理を効率的にできるGoogle タグマネージャーが近年多くの企業で積極的に導入されています。
前述のデジタルマーケティングソリューションの多様化に伴い、連携するツールが増えるほど必然的に計測タグの実装や管理の負荷が高まります。実装にエンジニアやコンサルタントなどリソースを別途要する場合、都度時間や費用のコストが発生してしまいます。
特にECサイトでの季節ごとのキャンペーンにおけるバナー効果測定など、Google アナリティクスのトラッキングコードのカスタマイズが必要な場合は内容の修正や更新があるたびに手作業でコードを編集するのはとても非効率です。
GTMを導入することで管理画面の設定変更でタグの配信が可能になるため、実装コストを削減することができます。
GTMのようなタグマネジメントツールを使わずにツール別にトラッキングコードを実装することも可能ですが、コストがかかる上にサイトページのHTMLソースが複雑化し全体の管理がしづらくなります。
また、コード内に記述されたJavaScript同士が干渉するリスクも大きくなり、その結果ページの読み込み速度の低下やサイト評価(SEO)への悪影響が生じる可能性があります。
GTMで配信タグを一元管理することで管理性を高め、動作環境を改善することが期待できます。
GAとGTMの用途の違いを改めて整理すると
と言えます。
つまり、自社サイト上のアクセスデータを計測するという目的のみであれば必ずしもGTMが必要ということはなく、手段としては
GTMのメリット(下で改めて説明します)を踏まえて基本的には2の方法でGAの計測を行うことを推奨します。 一方でなんらかの事情でGTMの導入が困難な場合や、GAのみをカスタマイズせずに使用するケースなどでは1の方法で十分、と言えます。
※1厳密にはGAのトラッキングコードにはanalytics.jsとgtag.jsの2種類が存在します。 従来のanalytics.jsに対してGAの現在のデフォルトになっているgtagはGoogle広告系製品との連携を想定し計測の仕組みが共通化された新しいフォーマットになっています。どちらも計測内容に差はありませんが、gtagはサイトへの直接の実装向けに設計されており、2のGTMを通じたタグ実装ではanalytics.jsの使用が推奨されています。
GTMを自社サイトに導入するメリットは様々なものが挙げられますが、大別すると以下の3つに集約することができます。
GTMのコンテナタグ(=コンテナスニペット)をサイトに実装することで、以後はHTMLコードを編集せずにGTMの管理画面から直接各ツールのタグ配信が可能になります。
GTMでタグ運用を行うことで
などのメリットがあります。
また、GTMでは
などタグ配信を安全に運用するための機能が充実しており、サイトの運用に複数のステークホルダーがいる場合に有用です。
GTMを使うことでGAをはじめ様々なツールのタグの配信が可能になります。 GTMで配信が可能なタグ一覧
中でも実際によく使われるタグの例としては
などがあり、他にもTwitter広告やLINE広告のコンバージョン計測なども対応しています。 特にウェブページの全ページに埋め込みが必要なタグはGTMを使うことで実装作業のコストを軽減することができます。
複数媒体で広告運用をし、広告以外にもサイト改善などの様々なツールを活用することが当たり前になった昨今においてGTMをデータ計測のハブとすることは大いに有効です。
GTMを活用することで自社ニーズにあった様々なデータを計測することができるようになります。 ウェブサイト上のどのようなデータを取得・計測するかは自社の商材やビジネスモデル、設定しているマーケティング目標によって異なりますが、こういうことができるんだ、というイメージを持てるように、GTMを用いたGoogle アナリティクスのタグ配信設定の中から筆者が実際によく利用する一例を紹介します。
クロスドメイントラッキングとは、異なるドメインの複数サイトをひとまとまり(同一セッション)として計測する仕組みを指します。ECサイトでASPカートを利用している場合など、別ドメインの外部サービスを使用している場合に設定することが多く、ユーザーの購買までの行動や流入元を正確に把握するために必要な設定です。
GTM上でGAタグにクロスドメイントラッキング設定を行うことで設定が可能です(GTMでの設定に加え、別途GAでの設定も必要です)
イベントトラッキングとは、ユーザーのサイト上でのアクションを計測する仕組みのことです。イベントの具体例としては
などがあり、GTM上の設定のみで多くのアクションを簡単に計測できるようになります。
カスタムディメンションはGAのデフォルトでは計測・収集できないディメンション(データ属性)を指します。具体例としては
などが挙げられます。 GTMを利用することでこういったデータをGAで計測されたデータと紐付け、より深くユーザーの行動を分析することが可能になります。
Google タグマネージャーについて、その特徴や導入メリット、具体的にどのようなことができるのかについて述べてきました。まとめると
となります。 具体的なGTMの導入設定や使い方についてはこちらの記事で説明していますので、ぜひご覧ください。 【2020年版】GAタグを実装!Googleタグマネージャー導入・設定ガイド