Google広告とGAを連携すると何ができる?分析・施策例も紹介

📅 June 24, 2020

⏱️ 13 min read

Yuya Hyodo

1993年生まれ。京都大学経済学部卒業後、新卒で三井物産に入社。その後社員2名のスタートアップにジョインし複数の新規事業開発に携わった他、大手リゾート会社のwebマーケティング責任者としてアクセス解析や広告運用など幅広い業務を経験。2019年12月zipunkを創業。Google Analytics個人認定資格(GAIQ)保有。

Yuya Hyodo

1993年生まれ。京都大学経済学部卒業後、新卒で三井物産に入社。その後社員2名のスタートアップにジョインし複数の新規事業開発に携わった他、大手リゾート会社のwebマーケティング責任者としてアクセス解析や広告運用など幅広い業務を経験。2019年12月zipunkを創業。Google Analytics個人認定資格(GAIQ)保有。

Google アナリティクスとGoogle広告の連携機能を活用することで、別々の運用では得られないメリットを生かした詳細なレポーティングや質の高い広告運用が可能になることを皆さんはご存知でしょうか?

また、昨今のサードパーティCookie規制下において、この連携は広告のコンバージョン計測を正確に機能させる上でマストの設定となっています。

既に連携済みの方もまだという方も、改めてGAとGoogle広告の連携でできることとそのメリットについて理解を深めることで日々の分析や施策立案の引き出しを増やすことができます。

また、本記事ではGAのデータ収集に関する新機能「Googleシグナル」についても解説します。

この記事で学べること

  • GAとGoogle広告の連携方法
  • Googleシグナルの役割と機能
  • 連携のメリットと分析や施策への活用イメージ

1. GAとGoogle広告の連携の仕組み

まず最初に、GAとGoogle広告の連携の全体像を簡単に紹介します。 ポイントは以下の3点が挙げられます。

  1. 収集・計測データの相互インポート
  2. GAのファーストパーティCookie(_gac Cookie)による広告情報の保存
  3. 新機能「Googleシグナル」によるユーザー情報の収集

難しそうに見えますが「こういうことをしているんだな」という理解で実務上は問題ありません。 順番に要点を確認しましょう。

1.1 収集・計測データの相互利用

GAとGoogle広告を連携することでそれぞれのツールで計測されたデータを共有することができるようになります。

具体的には

  • Google広告でのみ取得できる広告のインプレッションやクリック数、費用などのデータのGAへのインポート
  • GAでのみ取得できるエンゲージメントに関するデータ(直帰率やセッション時間など)のGoogle広告へのインポート
  • GAで作成したユーザーリストやコンバージョンデータのGoogle広告へのインポート

が可能になります。

これにより、例えば「広告の費用データをGAに取り込み自然検索とリスティング広告で獲得効率を比較する」というように相互のデータを利用した分析や施策が可能となります。 実際のレポート画面や分析・施策例は『4.連携を活用した分析・施策例』で後述します。

1.2 GAのファーストパーティCookieによる広告情報の保存

Google広告はサードパーティCookieという仕組みを使ってコンバージョンを計測しますが、昨今の規制強化の影響で一定期間サードパーティCookieを保存することは困難になっています。

Cookie(クッキー)の仕組みやファーストパーティCookieとサードパーティCookieについてはこちらの記事で詳細に解説しています。 【今さら聞けない】Cookie(クッキー)の仕組みとGoogleアナリティクス・Google広告への影響

Google広告をGAと連携するとGAの「_gac Cookie」というファーストパーティCookieを使って広告のCVに関するデータを保存できるようになり、この問題を回避することができます。

もう少し具体的に説明すると、連携設定時に「自動タグ」という機能を有効化することで広告のURL末尾にGCLID(Google Click Identifier)というIDが付加されます。このGCLIDの値を含んだ情報を_gac Cookieに書き込むことで広告のクリックをファーストパーティCookieとして保存する、という仕組みになっています。

自動タグの有効化の方法やメリットについては後ほど改めて説明します。

1.3 新機能「Googleシグナル」によるユーザー情報の収集

GoogleシグナルはGAのデータ収集設定に関する機能で、旧バージョンの「広告向け機能」が2018年にアップグレードされる形で利用可能になりました。

Googleシグナルを有効化することで、GAがデフォルトで収集しているデータに加えユーザーのGoogleアカウントに紐づいたトラフィックデータ(検索履歴やYoutubeの利用履歴など)が収集可能となります。

なお、Googleシグナルを有効にする上で

これらを注意点として認識しておきましょう。

Googleシグナルの有効化は自社のGAアカウントで「管理→「プロパティ」→「トラッキング情報」→「データ収集」画面で実行可能です。

ga-signal

Googleシグナルを有効にすることで

  • GAリマーケティング機能 GAデータを活用した広告運用が可能に
  • 広告レポート機能 GAでGoogle広告に関するレポートを確認可能になる
  • ユーザー属性レポートとインタレストレポート Googleアカウントに紐付けて取得したユーザーの性別や年齢、興味関心のあるカテゴリなどがGAで確認可能に
  • クロスデバイス レポート(ベータ版) デバイスを跨いだユーザー単位の集計レポート

が利用可能になります。 Googleシグナルの各機能や有効化の設定方法は公式ヘルプ「Googleシグナルを有効化する」をご参照ください。

2. 連携の設定方法

アカウント連携はGAの「管理>プロパティ>サービス間のリンク設定>Google広告とのリンク」で設定を行います。

画面にログイン中のGoogleアカウントに紐づくGoogle広告アカウントが表示されるので、連携したいアカウントを選択し続行をクリックします。

設定時の注意点として、連携にはGAとGoogle広告の管理者権限を持ったGoogleアカウントでの設定が必要になります。いずれかの権限がない、という場合は一時的に権限を付与してもらうなどの形で対応するのが良いでしょう(設定後に権限を外しても連携は維持されます)

connection-ga-googleads-1

「リンクグループのタイトル」にアカウント情報など任意のタイトルを入れ、データを反映させるビューのスライダーをオンにします。

最後に「詳細設定」から自動タグの有効化を選びます。 なんらかの事情で手動でURLにパラメータを付与して計測を行いたい場合は「自動タグ設定を変更しない」を選択します。

一連の設定が完了したら「アカウントをリンク」をクリックし、続いて表示される画面で「完了」をクリックすれば設定は完了です。データの反映までは最大で24時間かかる場合があります。

connection-ga-googleads-2

ここではGAを使ったGoogle広告との連携方法を紹介しましたが、Google広告上で連携設定を行うことも可能です。詳細はGoogle広告ヘルプ「GoogleアナリティクスとGoogle広告アカウントをリンクする」をご参照ください。

3. GAとGoogle広告の連携メリット

GAとGoogle広告を連携する代表的なメリットをまとめると

  1. 広告のCV計測
  2. レポート機能の拡張
  3. データを活用した広告運用

となります。

3.1 自動タグによる運用効率化

Google広告単体で運用する場合、広告のCV計測に必要なパラメータを手動で設定する必要がありますが、工数がかかる上に設定ミスによる計測漏れなどのリスクがあります。

GAとGoogle広告を連携し自動タグ設定を有効化すると広告URLにCVを計測するためのパラメータが自動で付加されるため、広告運用の効率化とミス防止につながります。

手動でパラメータを付与したURの例

www.example.com/?utmsource=google&utmmedium=...

自動タグを利用したURLの例

www.example.com/?gclid=123xyz

また、カスタムURL(手動タグ)で計測できるデータの種類(ディメンション)が5つであるのに対し、自動タグを使用することでGAにインポートされるディメンションは12種類となるため、より多くの分析が可能となります。 <参考>アナリティクスヘルプ「自動タグ設定のメリット」

また、GAと連携し自動タグを用いてファーストパーティCookieに広告CVデータを保存できるようになるのも連携のメリットと言えます(「1.2 GAのファーストパーティCookieによる広告情報の保存」より)

3.2 レポート機能の拡張

連携設定を行うことでGAの「集客>Google広告」配下のレポートが利用可能になります。

このレポートはGoogle広告からの流入分析ができるレポートとなっており、単にGoogke広告のデータを確認できるだけでなくGAで計測された行動データと紐付き集計されたレポートになっている点が大きな特徴です。 2020年6月現在、最大で12のレポート画面がデフォルトで用意されています。

それでは実際の画面例を確認してみましょう。 「Google広告」配下の「アカウント」や「キャンペーン」レポートでクリック数や費用などのデータを確認することができます。

ga-googleads-report-1

また、GAのeコマース設定で売上を計測している場合、広告のCPA(顧客獲得費用)と紐付けることでROAS(投資した広告費に対する売上比率)を確認することができます。

ROASを確認するにはレポートの指標グループを「サマリー」から「クリック」に切り替えます。

googleads-report-roas

このように、本機能を活用することで、広告の費用分析をはじめとする様々な分析が可能になります。

また、GAのデータをインポートすることでGoogle広告の管理画面でも同様に各キャンペーンや広告グループ単位で直帰率や平均セッションなどの指標を確認できるようになります。 詳細についてはGoogle広告ヘルプ「Google広告レポートのGoogleアナリティクスデータについて」を参照ください。

3.3 データを活用した広告運用

GAとGoogle広告を連携することで、GAで収集・計測したデータを活用した広告運用が可能となります。 ここではメインとなる二つの運用手法であるGAリマーケティングと機械学習を用いたスマート自動入札についてご紹介します。

3.3.1 GAリマーケティング

GAリマーケティングとは、GAで計測している行動データやeコマースのコンバージョンデータを元に作成したユーザーリストをGoogle広告のオーディエンス(配信対象)として利用しサイトへの再訪問を促進する施策を指します。

ユーザーリストの条件設定は細かなカスタマイズが可能なため、「直近30日間でサイトを3回以上訪問しているユーザー」というように自社のニーズに応じたユーザーリストの作成が可能です。 GAリマーケティングはコンバージョン見込みが高いユーザーに絞って広告配信をするため高い効果を得ることができます。

本来リマーケティングを行うにはGoogle広告のリマーケティングタグをサイトの全ページに挿入する必要があります。しかしGAとの連携をするとGAで計測したデータやユーザーリストのインポートが可能になりトラッキングコードの編集をせずにリマーケティングを行うことができます。

また、GAリマーケティングではユーザーのGoogleアカウントを利用することでデバイスをまたいだリマーケティング広告を表示できる点も優れている点と言えます。

ユーザーリストの作成方法とGAリマーケティングの具体的な活用方法については別の記事で解説します。

3.3.2 スマート自動入札

Google広告には機械学習を使用してコンバージョン数やコンバージョン値の最適化を行う「スマート自動入札」という入札戦略があります。人間では処理が困難な膨大な情報を活かし最適化を算出するため、時間節約やROI改善を見込むことができます。

スマート自動入札ではユーザーの所在地やデバイス、曜日・時間帯など様々な属性情報(シグナル)を利用しますが、GAと連携することでGAの分析データが指標データとして取り込まれ入札単価最適化の精度向上に役立ちます。

公式ヘルプに詳細な解説が記載されています。

4.まとめ

本記事ではGoogleアナリティクスとGoogle広告の連携について、その方法やメリット、具体的な活用イメージについてまとめました。

結論として、そのメリットの大きさからGAとGoogle広告の連携はマストでやるべき設定と言えるでしょう。 GAと連携することでGoogle広告単体を運用するよりも効率的な運用ができるだけでなく、

  • Googleアナリティクスが計測するユーザーの行動データやコンバージョンデータ
  • Google広告が計測する費用データ
  • Googleシグナルが収集するユーザーのトラフィックデータ

を紐付けることでより詳細な分析とデータを活かした精度の高い広告運用が可能となります。 設定自体も数分で完了するため、是非連携しておきましょう。